セリフが少なく、目や顔の表情で訴える演技がほとんどだ。いわば自分の存在感だけで観客に意思を伝えようというのだから、これまでの生き方もそのまま演技に投影されてしまう。これほど役者にとって酷なものもないだろう。一体、コンはどんな準備をしたのか。「どう演技に説得力を持たせるかが僕に与えられた宿題でした。過酷な訓練を通して強靭(きょうじん)な肉体を作り上げていく中で、壮絶なまなざしといった感情表現も劇中のドンチョルになっていった気がします。アクションはほぼノースタントです」。ただ、父性愛の表現には苦労したそうで、子供の父親になったことがないので「父性愛とはどんなものか」と想像しながら撮影に臨んだ。もちろん至らないと感じた点は多々あり、大船に乗ったつもりで監督の指示を仰いだ。
肉体と脳フル活動
それはそうと、裸になったドンチョルの上半身は男性が見てもほれぼれするほどの肉体美だ。「皆さんは僕がものすごい減量に成功した-との印象を持ったようですが、実際、体重はわずか4キロほどしか落ちていません。積極的に脂肪を減らして筋肉を増やしていったので、筋肉が浮き出るように見えたのかもしれません」。もともと体を動かすことが好きで、特技はバスケットボールと胸を張るコンにすれば、約4カ月にわたってドンチョル仕様の肉体に改造することは、それほど難しいものではなかった。