【大人の時間】
おいしくて体に健康なごはんは調味料から-。普段何げなく使っている調味料だが、単に味をつけるだけではないその効能を知ればもっと料理上手になれるはず。調味料の効果的な使い方などをまとめた『調味料の効能と料理法』(誠文堂新光社刊)を刊行した人気料理研究家の松田美智子さんに、最も基本的な調味料である「塩」の選び方やその効能などについて教えてもらった。
「日本の料理の基本を表す言葉に『さしすせそ』があります。これは砂糖、塩、酢、しょうゆ(せうゆ)、みその順に加えるとおいしくなりますよ、ということですが、単なる慣習ではなく、『粒子の大きい砂糖を先に入れると味が入りやすくなる』というきちんとした科学的な理由がある。『さしすせそ』は日本が培ってきた味の科学の結集なのです」と、松田さん。
その中でも、基本となるのが「塩」という。「塩をいかに使うかが料理の決め手。食材に甘味、うま味があれば、塩だけで十分なくらいです」
4種類を常備
まずは、塩選びから。塩は、塩分濃度の高い湖などで結晶化した「岩塩」と、くみ上げた海水を製塩した「海塩」に大きく分けられる。「海塩」の中にはさらに海水をくみ上げて物理的に水分を蒸発させただけの塩「天日塩」があり、こちらには海のミネラルがそのまま含まれている。一方、濾過(ろか)した海水を電気透析して煮詰めた精製塩は、塩化ナトリウムほぼ100%。