習近平国家主席や胡錦濤前国家主席の母校としても知られる名門、清華大学。中国共産党中央組織部と教育省が出した党幹部の高学歴取得禁止令によって、9月から各大学院の社会人コースで退学ラッシュが起きているという=2007年9月27日、中国・首都北京市海淀区(共同)【拡大】
影響はそれだけではない。ある大学教授は「腐敗問題につながる部分もあるが、あくまでも一部に過ぎない。全体的にみれば、政府高官が教育を受けることは良い事だ」と話したうえで「大学院は幹部にとって、社会や経済の実態を知る数少ない場所であり、それがなくなれば、中国全体の発展にマイナス効果をもたらす」と強調した。
普段、取り巻きに囲まれる政府高官が、大学院に行けば、経営者や企業幹部から現場の声が聞けるほか、世界最新の経営理念を学ぶこともできる。これまでにEMBA、MBAに進学したのは改革派の幹部が圧倒的に多いと言われている。今回の通達は彼らから社会を知る貴重なチャンスを奪い、今後、「マルクス主義」や「習近平の重要講話」などの政治理念ばかりを勉強させられれば、共産党幹部はますます、保守化し、庶民から孤立する存在になることが懸念される。
権力闘争との見方も
今回の措置について、党内の権力闘争の視点から解釈する党関係者もいる。●(=登におおざと)小平(とう・しょうへい)氏(1904~97年)の孫など習主席の人脈に繋がる太子党(元指導者らの子弟)系の幹部の多くは、青年期に米国などに留学し、有名大学で修士以上の高学歴を手にしてから、官僚になった人が多い。習主席の長女も現在、米ハーバード大学に留学している。