日中戦争時の強制連行をめぐり、河北省高級人民法院に損害賠償などを求めて提訴に向かう元労働者ら。被害を受けた中国人を探し出しては提訴を後押ししてきた反日活動家らは今、皇居内で保管されている唐代の石碑を新たな標的にし始めた=2014年4月2日、中国・河北省石家荘市(共同)【拡大】
【国際情勢分析】
日本に対する戦争賠償を求める中国の民間団体は、日露戦争後に中国から日本に移され、皇居内で保管されている唐の時代の石碑「鴻臚井(こうろせい)の碑」の返還を求め始めた。8月上旬に、北京の日本大使館を通じて正式書簡を提出した。日中関係筋は「普通の財産返還を求める事案よりも、日本のイメージ低下を狙った新たな反日の動きの要素が強い」と警戒を強めている。
日露戦争の戦利品
中国メディアの報道などによると、返還が求められている「鴻臚井の碑」は、横3メートル、高さ1.8メートル、重さは9.5トンの石碑で、碑文には、西暦713年、唐が渤海王を「渤海郡王」に冊封した記録などがある。渤海国内(現在の遼寧省旅順市)に建てられていたが、日露戦争で旅順を占領した日本軍が搬出し、戦利品として明治天皇に献上したという。
中国の民間団体「中国民間対日賠償請求連合会」は、この石碑は「日本軍が略奪した」と主張し、北京の日本大使館を通じて、日本政府と天皇陛下宛に返還を求める書簡を送ったことを発表した。日本大使館も送達されたことを確認した。