日中戦争時の強制連行をめぐり、河北省高級人民法院に損害賠償などを求めて提訴に向かう元労働者ら。被害を受けた中国人を探し出しては提訴を後押ししてきた反日活動家らは今、皇居内で保管されている唐代の石碑を新たな標的にし始めた=2014年4月2日、中国・河北省石家荘市(共同)【拡大】
日本と中国の間で1972年に調印された「日中共同声明」で、中国側は日中戦争に対する賠償を放棄したことを明記している。このため、中国政府は日本に対し戦争賠償の請求ができなくなった。しかし、童増氏らは民間賠償の名目で、日中戦争中に被害を受けた中国人らを探し出し、90年ごろから日本国内の多くの裁判所で日本企業などに対し損害賠償を求める裁判を起こしたが、ほとんどは「時効が成立している」「請求権が消滅した」などの理由で敗訴した。今年になってから、日中関係の悪化と習近平政権の対日強硬姿勢に合わせ、童氏らは訴訟の舞台を中国国内の裁判所に移し、精力的に活動を続けている。
「請求権放棄と矛盾せず」
最近、童増氏の活動が大きな“成功”を収めた事案がある。今年4月、童氏が支援した元中国企業家の親族が、日中戦争で沈没した船を租借していた日本企業から、約40億円の損害賠償を勝ち取ったことである。中国の裁判所が日本企業が所有する別の船を取り押さえたことがきっかけとなった出来事だった。日中両国政府は「戦争賠償ではなく、普通の民事問題」との立場をとっているが、中国世論は「対日賠償の大きな勝利」と位置づけている。