これは、世界遺産白神山地の麓、西目屋村にある暗門の滝の波紋からヒントを得てできた模様だ。鋼を25層に重ね、磨き上げ、その層の境目を浮かび上がらせる仕上げを施すことで、「暗門の滝」の波紋のような美しい模様を作り上げている。この美しく神秘的な紋様と確かな技術に裏打ちされた切れ味という機能性が評価され、海外でも欧州を中心に暗紋で仕上げた刃物への支持が少しずつ広がってきている。次世代を担っていく剛さんは暗紋仕上げの広がりを模索しようと、ペーパーナイフなどのシリーズも展開するなど、日々刃物の可能性を追い求めている。
古来からの技術と最新の技術、そして地元ならではの環境から生まれる発想が融合したモノづくりは、確かな方向性の一つを示していると感じた。(「COS KYOTO」代表 北林功/SANKEI EXPRESS)
■きたばやし・いさお 1979年、奈良県生まれ。現代に受け継がれる多様な素材や技術、人を「京都」の感性で融合し、発信する「COS KYOTO」代表/コーディネーター。「TEDxKyoto」ディレクター。二唐刃物鍛造所の包丁の一部は、COS KYOTOショールーム(京都市北区紫野上柏野町10の1)で展示予定。HP:cos-kyoto.com