柿の実とサツマイモ、エリンギの甘酢漬けは素材の持つ甘みを中和する酸味がちょっぴり刺激的だ。それぞれに手間暇を惜しまず工夫されたアイデア料理の数々には脱帽するしかない。
「和牛バラ肉の四川風煮込み」は麻婆仕立て。3時間以上コトコトと煮込んだ肉はとろけそうに軟らかく、脂身もしつこくなく味わえる。付け合わせに大根、赤カブ、カボチャや伏見トウガラシなど季節の野菜が添えられ、バラ肉との相性もいい。
「オマール海老のチリソース煮込み」には、特製チリソースに“技”がある。豆板醤(とうばんじゃん)と自家製ラー油でつくったチリソースには米麹が混ぜ込まれその甘みが持ち味に。隠し味の溶き卵がチリソースの辛さをマイルドに包み込む。オマール海老の身にソースをたっぷりとつけて口に含むと、甘辛いソースの味わいが心地よく、しばらくするとピリッとした辛さが舌を刺激する。クセになる不思議な一皿だ。