「今回は実験的な作品」と話す、演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチさん。大ファンというウディ・アレンを描いたシャツを着て=2014年9月9日、東京都世田谷区(藤沢志穂子撮影)【拡大】
再び注目したのは最近、自宅でCS放送の映画専門チャンネルなどを見るようになってから。「いまになって面白さが理解できて、森繁さんのうまさにも改めて驚いた。新作のタイトルを『社長ナンとか記』にしようと考えた」と笑う。
ただ新作は「社長シリーズ」を翻訳したものではない。登場人物は多面的でとらえどころがないようにも見える。「思い切った実験」の背景は、本当の人間像は、通常の舞台でキャラクターを浮き彫りにするように分かりやすいものではないと、示すことを狙ったともいえる。
不条理とリアルを交互に
「ドキュメンタリーではカットできない大切なシーンで、そこにいる人がたまたま何か言っちゃうことがある。『あれって何だったんだろう』と。よく分からなくても、遊びのようなことがあってもいい。だから今回の作品は不条理劇風なシーンと、リアリスティックなシーンが交互に現れる。文体も変えたし、笑いの質も変わる。見る人の数だけ答えがあった方が面白い。好きに感じてくれれば」