北方領土の国後島に配備されたロシア軍のT80型戦車。「力でしか現状変更しない国」と外交決着を図るには、畏怖させる覚悟だけでも示す必要がある=2011年2月19日(提供写真)【拡大】
敵戦車が近付くや、爆雷ごと体当たりを敢行する。《肉攻手》による《肉攻》だ。世界に冠たるソ聯陸軍戦車63輌を葬る戦果を挙げた。戦果には、敵戦車を分捕り、砲撃して粉砕した数輌が含まれる。
「極めて残酷な命令」
左翼や戦後の敗戦史観教育にどっぷりと汚染された日本人は嫌悪感を抱く。確かに命令は下達された。だが、生き残った幹部候補生が残した複数の著書や記録を読み、口をつぐもう。
彼らは無謀に死に急いではいない。開拓などに従事した在留邦人が少しでも早く、少しでも遠くの非占領地に逃げ延び、帰国を果たしてもらいたい一心。斯(か)くなる戦略目的に得心し、命ある限り敵戦力を漸減させ、侵攻速度を削ぎ、後方の友軍が防御陣地を完成するまで時間を稼ぎたい一心だった。そしてもう一つ。石頭予備士官学校幹部候補生・南雅也氏(1925~95年)が著書《この壮烈な戦士たち》などを通し、絞り出すように語っている。