東松島市野蒜(のびる)地区出身の及川さんは保育士の経験を持つ。千葉さんが、かつて保育所で面倒を見た子供だったことに気付き、返却に結び付いた。
黒と赤のランドセルや位牌(いはい)、純白のウエディングドレスを着た女性や軍服姿の兵隊の写真。この日、センターの机や棚に並べられたのは約7万点に上る。
「病弱だったけど、小さくてかわいかったんですよ」。東松島市の曽根悦子さん(67)もセンターを訪れ、1984年に3歳になる前に亡くした長女涼子さんの写真を、淡い記憶をたどるように捜していた。大切にしていた写真は、津波で自宅とともに全て流された。「一枚でもあればいいんですけど」
宮城県石巻市の吉田幸雄さん(63)は自宅が津波で流され、昨年、父親も他界した。これまで全く写真が見つからず、父親の仏壇に飾る写真もない。「思い出になるもんなら何でもいいから欲しい」と東松島市の返却会に足を延ばした。今後も捜し続けるという。写真の保管に携わってきた及川さん自身、津波で流された実家の跡地に通い、家族の写真などを捜した。「自分も流されたから、捜す人の気持ちが分かる。少しでも家族の元に返したい」とボランティアを始めたが、「返しても返しても減っている実感がない」と焦りもにじむ。「ここが私の居場所。最後の一枚まで見届けたい」(SANKEI EXPRESS)