74人が亡くなった広島市の土砂災害の発生から1カ月となった20日、中区の市役所で、犠牲者を追悼する行事が営まれ、遺族や市民らが花を手向けた。松井一実(かずみ)市長は「教訓を肝に銘じ、安心に暮らせる町の実現に向け全力を尽くす」と追悼の言葉を述べた。
市役所1階のロビーに献花台を設置し、黙祷(もくとう)した後、松井市長と湯崎英彦知事が献花。松井市長は「(犠牲者の)無念の思い、いかばかりかと痛恨の情を禁じ得ない」と哀悼の意を表し、湯崎知事は「災害死ゼロ」を目標に掲げ、県全体で防災対策に取り組むことを誓った。
次女、村田宏美さん(54)と利主さん(59)の夫婦を失った西本幸子さん(77)は「何が何だか分からないまま1カ月が来ました。今日は涙を流してはいけないと思ったけど、ついねぇ」と手にした白いハンカチを目に当て、「これから現場をもう一度見に行ってあげたいと思います」と会場を後にした。
19日夜の時点で約70人が避難所生活を余儀なくされ、避難勧告も一部で継続。50万立方メートルと推定される量の土砂やがれきは、10月上旬までに撤去する計画だが、最終的な処理まで時間がかかりそうだ。
市によると、安佐北(あさきた)、安佐南(あさみなみ)両区の道路での土砂撤去をほぼ完了し、宅地での作業は、安佐北区で9割、安佐南区で7割を終えた。