ゲリラ豪雨や土砂崩れなど異常気象による災害が激化していることを受け、政府が、突発的な自然災害に対する早期予測システムの構築に乗り出すことが8月23日分かった。大学や研究機関が持つ技術を結集して開発する計画で、2015年度の概算要求に盛り込む。ゲリラ豪雨については20年までに、雨が降り始める前の予測を目指す。広島市の土砂災害では、積乱雲が連続して発生する「バックビルディング」という現象が起き豪雨になったとみられるが、現状では予測は困難だ。
計画は防災科学技術研究所(茨城県つくば市)を中核として、文部科学省や国土交通省、気象庁などの関係省庁や大学、民間企業が連携する態勢を整える。研究者は身分を保ったまま防災科研と兼任し、一つのチームとしての運用を検討する。
研究チームは、水蒸気を測るマイクロ波放射計と雨を捉えるレーダーを組み合わせ、積乱雲の発生をいち早く検知する技術を開発する。その情報を基に積乱雲の発達や行方をシミュレーションし、雨が降り出す1時間前に豪雨を予測する。
積乱雲によって起きる竜巻の予測も精度を上げる。現在は基本的に都道府県単位の予報だが、市町村単位での予測を目指す。大雪やひょう、落雷なども研究を進め、地域の特性に合わせた局地的な予報などを実用化する考え。