ほぼ一発録り奏功
『君待てども』は戦後間もなく平野愛子がヒットさせ、さらにアメリカ本拠地に活躍した歌手の草分けであるナンシー梅木が英語でカバーした“和製ジャズ”の名曲。高岡によるカバーは日本語と英語のメドレーだが、映画のエンディングにマッチし、動画サイト、ユーチューブでの再生数も14万回を超える反響を呼んだ。その成果を元に、アルバムはさらに発展させ、彼女が幼い頃から親しんできた音楽ジャズ・テイストラブ・ソング集を作ろうということになったという。『胸の振り子』『星影の小径』『アゲイン』といった曲である。分けても『黄昏のビギン』は、その数奇なヒット曲としての運命が佐藤剛著『黄昏のビギン』でも話題になっており、タイムリーな選曲となった。
「え? そうなんですか? 映画のエンディングに合ってるな、と選んで、使われなかった曲です。とても好きなんです」
高岡はジャズ曲については特に詳しいわけでもなく、ジャズを愛する親のセンスが、ひたすら感覚で伝わっている風情だ。
多忙な女優業の合間を縫ったレコーディングは、山下洋輔が全面参加しているほか、ギタリスト鈴木禎久とのセッションなどと、ほぼ一発録り、50年代のジャズボーカル作品のような録音が功を奏した。