57人が死亡、6人が行方不明となった御嶽山(おんたけさん、長野・岐阜県、3067メートル)の噴火から27日で1カ月を迎える。降雪で今年の行方不明者の救出・捜索活動は打ち切られ、後方支援の拠点となってきた麓の街にも日常が戻りつつある。だが、地元経済の主力である観光業は、客足が遠のき、風評被害も深刻だ。「これからどうなるのか」。噴火は、麓の生活に、今も影を落とし続けている。
700人キャンセル
「売り上げが半減した」「被災者の気持ちを考えると安全性のアピールも自粛せざるをえない」
長野県木曽町で25日、阿部守一(しゅいち)知事と地元の観光関係者らによる意見交換会が開かれ、出席者からは切実な声が漏れた。
自らもペンションを経営する木曽町観光協会の幹部は「700人のキャンセルが出た宿泊施設もある。観光客から『危ないから別の場所に泊まろう』という声も聞き、風評被害は深刻だ」と訴えた。
町商工会が、木曽町と王滝村の旅館や飲食店に行ったアンケートでは、回答した124施設のうち約7割が客足が減少したとしている。