早いものですね、師走まであとひと月! 展覧会や美術展などアート関係の催し物も多くなるこの時期ですが、お花もアートを意識したアレンジはいかがでしょうか。
日本文化にも通じる省略
今回は少ない花材でミニマルな印象を与えるアレンジメントです。もともとミニマリズムとは完成度を追求するために装飾的な方向に行くのではなく、無駄をはぶいて必要最小限まで省略する表現スタイルです。1960年代にアメリカで最初に音楽・美術の分野で発生しましたが、ファッションにも波及したりしてその後、幅広くデザインの世界に広まって衝撃を与えた概念なのです。
そして実はこのミニマリズムの精神は、日本文化に原点があるのでは?と思えるくらい日本特有の「禅」や「わびさび」という価値観にミニマリズムの本質が凝縮されています。
禅の価値観が表れた代表的なものとして皆さまもご存じの龍安寺の石庭があります。工夫が凝らされた限られた空間の中に、13個の石が絶妙に配置されていてとてもシンプルですが、美感の本質を見事に刺激していて、その美しさは日本人だけでなく多くの外国人をも魅了し続けています。本質が簡素に表現されたものを私たち日本人は昔から好んできました。