紙すき作業をする「細川紙技術者協会」の鷹野禎三会長=2014年10月28日、埼玉県秩父郡東秩父村(栗橋隆悦撮影)【拡大】
登録対象の一つである細川紙は、埼玉県の小川町と東秩父村周辺で伝承されてきた。現在は「細川紙技術者協会」の職人十数人が技術を守り続ける。協会の鷹野禎三会長(79)は、登録勧告の知らせに「うれしい気持ちと同時に、大きな責任を感じる。良い技術を残すため、後継者を育てていくことに尽くしたい」と力を込めた。
鷹野会長の工房で研修を積んだ高山紗希さん(22)は「現代の生活の中で使えるものを作り、将来に残していきたい」と話した。
「本美濃紙の未来に朝日が差し始めたなという思い。良い紙を作り続けるという信念を持って、これからも進んでいきたい」
岐阜県で伝統を受け継ぐ本美濃紙保存会の沢村正会長(84)は、力強く抱負を語った。
むらのない美しさや丈夫さが評価される本美濃紙は、障子紙のほか文化財の修復にも使われる。会員は8人。11人の研修生も受け入れ、後継者育成に力を注ぐ。沢村さんは「若手にとっても大きな励み。本美濃紙の素晴らしさが世界に広がり、新たな販路を見いだせれば」と期待する。