厚生労働省は29日の社会保障審議会の部会で、市町村が運営する国民健康保険(国保)を都道府県単位に移管した後も一律の保険料とせず、医療費の抑制や保険料の納付率向上への取り組みを保険料額に反映させる案を示した。努力次第で加入者の保険料を下げられるようにすることで、都道府県と市町村に積極的な取り組みを促す狙いがある。
現在の国保は各市町村が運営し、保険料額も財政状態によって異なる。運営を移すことにより規模を大きくして財政基盤を安定させるとともに、各都道府県が医療の効率化に主体的に関わることも期待されている。厚労省は年内に移管の具体策をまとめ、2015年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。
厚労省案では、市町村が集めるべき保険料の総額を都道府県が「分賦金」として割り当てる。市町村はそれを基に加入者から保険料を徴収し、都道府県に納める。分賦金は人口や医療費、年齢構成、所得水準によって調整して決まる。
各市町村が住民の健康づくりに力を入れて医療費を削減すれば、分賦金が下がる。都道府県が立てた目標より納付率が高ければ、1人当たりの保険料を安くできる。