撮影を通して、新垣は今まで味わったことがない気持ちになれたという。身近で母親になったばかりの友達や親戚の子育てぶりを見ていると、「自信をなくしてしまうくらい大変そうな仕事だな。私もいずれ赤ちゃんがほしいけれど、私が母親になるのは無理かもしれない…」というのが正直な気持ちだった。ところが撮影に入ってしまうと、そんなネガティブな気持ちが一発で吹き飛んでしまう心地よい瞬間があった。「抱いていた赤ちゃんが私に身を委ねてくれたとき、私は『この子を守らなければならない』と思わず考えてしまった瞬間がありました。母親と赤ちゃんの関係はこのようにして成り立っているのか…と感心してしまったんです。これがお母さんの気持ちなんだなあと実感できました」
感情表現の濃淡に気配り
夫婦の愛とは何かを考察する機会ともなった。撮影が進んでいくうちに、新垣は「サヤは実は最初から弱い人ではなかったのではないか。成仏できないユウタロウをなだめ、手のひらの上で転がしていたのは、本当はサヤだったのかもしれない」と思えてきて、心の弱さと強さが同居するサヤの感情表現の濃淡について、さじ加減に気を配るようになった。「とはいっても、サヤは計算してユウタロウを転がしていたわけではありません。思ったことをぶつけ合う。夫婦ってそんな感じなんですかね。その方がうまくいくともいいますし…」