陰で支える花、ヒース
滞在中、「ヒース」と呼ばれるツツジ科エリカ属の植物をよく見かけた。南アフリカ原産だが、スコットランド北部に多く生育し、低温・高湿度の気候に耐え、夏から秋にかけて紫色の小さな花をたくさんつける。
ヒースは枯れて湿地帯に堆積すると質のいい草炭(ピート)になる。ピートはモルトウイスキーの原料である大麦麦芽を乾燥させる燃料となり、麦芽には「ピート臭」という独特の香りがつく。ウイスキーづくりを陰で支える花だ。
竹鶴氏が蒸溜所を建設した北海道・余市の駅から蒸溜所までの道、通称「リタロード」にもヒースが植えられている。
スコットランド人としての誇りを終生、失わなかったリタさん。その愛に支えられた竹鶴氏の「ジャパニーズウイスキー」づくりは、まるでヒースのように日本の大地にしっかりと根付いた。