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【続・灰色の記憶覚書】散歩する帰郷 長塚圭史 (3/4ページ)

2014.11.10 14:40

「ふるさと」を思うとき、なぜか夕暮れの光景を思い浮かべてしまうような。あんまり暮れると照れくさいので、夕暮れの少し前=2014年10月21日(長塚圭史さん撮影)

「ふるさと」を思うとき、なぜか夕暮れの光景を思い浮かべてしまうような。あんまり暮れると照れくさいので、夕暮れの少し前=2014年10月21日(長塚圭史さん撮影)【拡大】

  • 【続・灰色の記憶覚書(メモ)】演出家の長塚圭史さん(提供写真)

 捉えて放さぬ磁力

 帰郷していて道に迷うこともある。決して大きい区画ではないのだけれど、子供の頃に足を踏み入れなかった道に来ると、突然方向を見失ってしまう。子供の頃に用事のなかった通りは、現在の私にとっては「ふるさと」のすぐ後ろに隠れた未知の領域だ。私はそうした知らなかった「ふるさと」も愛してしまう。むしろ、どうしてここへは来なかったのだろうかということを考えながら、ニヤニヤと繰り返し歩いてしまうのだ。

 「ふるさと」に暮らそうかと考えないこともない。現在まで残っている当時の面影を失わないように、より鮮明に記憶しておくためにも生活をここへ移してみようか。しかしそれはそれで帰郷できなくなってしまうという問題が生じる。私はこの曖昧な帰郷がこよなく好きなのだから、特別な場所での特別な時間を奪われてしまうような気もしてしまうのだ。それでいて「ふるさと」で家など売り出されているとついのぞき込んでしまう。「ふるさと」には私を捉えて放さぬ磁力がある。

親類やかつてのなじみのいない場所

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