最も衝撃的なのは、象牙が国家主席専用機で密輸されたとの証言だ。EIAの覆面調査員は14年9月、ダルエスサラームの象牙密売人2人と接触。密売人によると、13年3月に習主席率いる中国の政府高官や財界人の訪問団がタンザニアを公式訪問した際、現地で中国人が数千キロの象牙を買い付け、1キロあたりの卸値は通常の倍の700ドル(約8万円)まで高騰したという。象牙は外交用に使われる袋に入れられ、専用機で中国に持ち込まれたとされる。
報告によれば、09年2月に胡前主席(71)がタンザニアを公式訪問した際にも象牙価格は高騰。06年には「中国大使館の館員が象牙の主な買い手」との証言を得たという。
中国は最大の輸入国
EIAによれば、「タンザニアは密猟で得られた象牙の最大の供給国であり、中国は最大の輸入国」。世界遺産に登録されているタンザニアのセルース猟獣保護区では4年間で象が67%減少したほか、タンザニアの象は13年の1年間だけで1万頭が殺されたという。また与党のタンザニア革命党の一部の政治家が、密猟者を保護しているとも指摘する。