東京・赤坂のTBS本社ビル=2010年12月22日、東京都港区(提供写真)【拡大】
メディア業界でよく知られた事例では、1980年に、集英社発行のマンガ誌『少年ジャンプ』に掲載された「私立極道高校 39話」がある。そこには滋賀県に実在する5つの中学と卒業生4人が実名で登場する。学校関係者の抗議で、集英社は対象の中学に出向き、(1)当該マンガは連載を打ち切る(2)雑誌の回収は全国的規模で実施する(3)新聞紙上で訂正と謝罪を検討する-と回答し、その通り実行された。
筆者は当時から滋賀県に在住しているから、関係中学の怒りが大きかったことをよく知っている。が、問題はなぜそれが起きたかである。後からわかったのは、作者のアシスタントが滋賀県の当該中学の出身で、それらの実名を出してしまったということである。
今回の場合も、メディアの制作者が倫理面に疎く、抗議されるまで気づかないという愚かな現場実態が露呈したとしか言いようがない。(同志社大学社会学部教授 渡辺武達(わたなべ・たけさと)/SANKEI EXPRESS)