北朝鮮に直接乗り込み、交渉することはできない家族にとって、頼れるのは世論しかない。ひたすら街頭で署名を呼びかけ、講演で家族の思いを訴えてきた。
97年からの17年間で夫妻が行った講演は1400回を超えた。その間に滋さんは2度の入院を経験したが、「今(活動を)やめたら、何も残らず消えてしまう」と現在も講演依頼の大半に応じている。夫妻の元には11月も10件を超える依頼が寄せられていた。
「倒れたら無駄に」
拉致問題解決のめどが立たない中、活動を始めたときには60代だった夫妻も年齢を重ねた。14日で82歳になった滋さんは、足腰の衰えが目立つようになった。バスや電車を乗り継いで、自宅のある川崎市と講演会場を往復するだけでも大きな負担となる。78歳の早紀江さんも加齢で声がかすれ、講演で苦労しているという。
「私たちはめぐみを待ってあげなくてはいけない。自分の体のことも考えないと、倒れてしまったら、これまでの運動が全て無駄になってしまう」。早紀江さんは滋さんを説得。年内の講演活動を休止して、静養することを決めた。