【メジャースカウトの春夏秋冬】恩師であるローイ・カーピンジャー氏(左)と大屋博行氏(アトランタ・ブレーブスの国際スカウト駐日担当)=1月18日、米国(大屋博行さん提供)【拡大】
ロイヤルズが低迷期だったことが幸いした。大リーグのドラフト会議はウェーバー制で、指名順は成績下位のチームから。有望選手を獲得できる有利な条件がそろっていた。育成には資金も重点投下する。こうして、獲得した選手をマイナーで育て、昨季は10年ぶりの勝率5割超えを果たした。補強で獲得した青木選手もムーア氏好みの選手だろう。守備に定評があって足も使え、打撃もシュア。日本人選手の堅実さや責任感の強さを知っていた。育成と補強を実らせ、大躍進へとつなげた。
現場の意見をよく聴く
もちろん、厳しい一面も持ち合わせている。通称名は「シャープ・ガイ」。ひとたび能力がないと見るや、選手もスタッフも遠慮なくクビを切る姿勢から、こう呼ばれていた。
ただ、現場主義の人間で、担当スカウトやコーチの意見にいつも耳を傾けていたことも印象に残っている。私も春季キャンプでフロリダを訪れたとき、グランドでマイナー選手を見ていると、ムーア氏に「あの選手をどう思う」とよく尋ねられた。多くのスタッフにさまざまな質問をぶつけてより多くの情報を収集し、強化に役立てていたのだ。