日本映画界を代表するスター俳優、高倉健(たかくら・けん、本名・小田剛一=おだ・ごういち)さんが10日、悪性リンパ腫のため、東京都内の病院で死去した。83歳だった。東映の任侠映画シリーズで一時代を築き、「幸福の黄色いハンカチ」や「南極物語」「鉄道員(ぽっぽや)」などの名作に主演し、一貫して寡黙で不器用な男を演じ続けた。最後の作品となった2012年の「あなたへ」でも主演を務め、生涯に205本の映画に出演した。
福岡県出身。葬儀は近親者で行った。所属する「高倉プロモーション」によると、次回作の準備中に体調不良で入院、治療を続けていたが、容体が急変したという。事務所は「生ききった安らかな笑顔でございました。今は、お一人おひとりの心の中に宿る故人の笑顔に、静かに祈りをささげていただけますことを願っております」とのコメントを発表した。
「網走」「鉄道員」
高倉さんは、明治大商学部卒業後、1955年に東映にニューフェースとして入社。60年代半ばから、任侠道に生きる男を描いた「日本侠客伝」や「昭和残侠伝」シリーズなどの主演作で人気を集め、「網走番外地」シリーズも大ヒットした。「死んでもらいます」の決めぜりふは、全共闘世代の共感を集め、時代のヒーローとなった。