7年ぶりの主演映画「紙の月」(吉田大八監督)で宮沢りえ(41)が演じたのは、長らく共働きで子供を持たない「DINKS(ディンクス)」の生活を謳歌(おうか)してきたきまじめな女性銀行員の梨花。思いがけず自分よりはるかに年下の大学生と恋に落ちるや、その遊ぶ金欲しさから、次々と顧客の預金に手を付けては帳簿類の偽造を繰り返し…。
「梨花は平凡な生活を送ってきた女性だし、主婦の仕事もきちんとこなしていました。私の場合、そのどちらにも当てはまらない人生だったので、梨花の役作りではかなりの想像力を必要としたんですよ」。宮沢にとって、梨花は等身大の自分とはあまりにもかけ離れた役どころではあったが、本作に出演したことで、人間に与えられた自由とは何か-を真剣に考えるまたとない契機ともなったそうだ。
できない役はない
本作は、直木賞作家、角田(かくた)光代(47)の同名のベストセラーを、「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督(51)が映画化。先の東京国際映画祭では、観客賞のほか、宮沢に主演女優賞をもたらしたのは記憶に新しい。