例えば、内山さん一押しの人気料亭「馳走 ●(=口へんに卒)啄」や「和久多」のおせち。「ほら、仕切りがほとんど入っていないでしょう」
有名料亭はお得意さんのためにおせちを作るところが多い。内山さんはそうした店にせっせと足を運んで、三越向けに出してもらえないか、と日々交渉しているのだという。
「『馳走 ●(=口へんに卒)啄』のおせちなどは、3、4人の職人さんが立ち仕事で作っています。本当に頭が下がる」と、内山さんは話す。
老舗のお重、高くない
おせちというと、値段が高いイメージがある。「いえ。赤字覚悟のお店がほとんどです。そこは職人さんの心意気ですから」
三越で“新規”におせちを出すようになった店は、内山さんが長い時間をかけ信頼関係を醸成してやっと念願がかなったところが多い。
「ある料理長さんは高校時代の部活の話をするうちに、私がインターハイに出場経験があることを知って一気に打ち解け、親密な関係を築けたこともありました」。それだけに愛着もひとしおだ。