11月24日、ソチでロシア軍幹部との会議に臨むウラジーミル・プーチン露大統領(中央)。「外敵」をつくって国民を団結させるプーチン氏の手法は、スターリン時代から変わることのないロシアの伝統といえる=2014年、ロシア(AP)【拡大】
3万人超が銃殺
歴史問題に取り組む露人権団体「メモリアル」によれば、この時期に逮捕されたハルビン出身者は4万8000人以上にのぼり、うち3万992人が銃殺された。
プルドフスキー氏は、祖父が農業指導者としてハルビンに渡り、弾圧されたことから問題を調べ始めた。「書簡は弾圧をどのように行うかの指導書だったが、銃殺された人々の名誉回復も行われた今、内容に機密性はない」と語る。「真実が明らかにされねば、歴史は繰り返される」と、機密解除を拒んだ旧ソ連国家保安委員会(KGB)の後継機関、FSBを批判した。
書簡は7月、やはりKGBの後継機関であるウクライナ保安局(SBU)の古文書担当者がプルドフスキー氏のことを知り、「当方では機密解除されている」とネット上で公開した。
日本人抑留問題の研究で知られる元KGB大佐、アレクセイ・キリチェンコ氏(78)は書簡の内容について、「当時の日本の諜報活動は大したものでなかった。少数の(活動)事例はあっただろうが、ほとんど全てが嘘だ」と指摘。「ハルビン出身者の弾圧は、敵をつくることでソ連国民を恐れさせ、団結させるためだった」と語る。