11月24日、ソチでロシア軍幹部との会議に臨むウラジーミル・プーチン露大統領(中央)。「外敵」をつくって国民を団結させるプーチン氏の手法は、スターリン時代から変わることのないロシアの伝統といえる=2014年、ロシア(AP)【拡大】
重なるプーチン政権の姿
「敵」の存在を示して団結を図る手法は今春、「ウクライナに米欧の支援するファシスト政権が発足した」と大規模なプロパガンダ(政治宣伝)を展開し、ウクライナへの介入や米欧との対峙で支持率を高めたウラジーミル・プーチン露政権の姿と重なってくる。
プーチン政権は昨年、「愛国心」の浸透を目的に学校用歴史教科書の統一作業に乗り出し、過去の独裁者や戦争を肯定的にとらえる指導要領を策定。指導要領は、スターリンの恐怖政治が確立していった20~30年代について「近代化が生活の全ての面に及んだ」と記述し、37~38年だけで約70万人が銃殺された大粛清の規模にも触れていない。
プーチン大統領(62)は今月の若手歴史家との会合で、「地政学的利害」から「歴史の書き直し」を図る勢力があるとし、歴史の「客観的な記述と評価」が必要だとげきを飛ばした。エジョフ書簡の機密扱いを続けるのは、それが「客観的な歴史」に有害だからということだろうか。(モスクワ支局 遠藤良介(えんどう・りょうすけ)/SANKEI EXPRESS)