スイスのベルン美術館は24日、2012年にドイツ南部ミュンヘンで見つかった第二次世界大戦中のナチス・ドイツによる略奪品を含む大量の絵画の遺贈を受け入れると発表した。5月に死去した絵画の所有者が「全作品をこの美術館に寄贈する」との遺言を残していたことが発覚。美術館側は熟考の末、受け入れを決めた。この判断を受け、これまで略奪絵画の返還に及び腰だったドイツ政府も美術館側と協力し、絵画の正当な持ち主を探すと宣言した。とはいえ、所有者の遺族の一部が絵画の所有権を主張するなど、事は簡単に運びそうにない。
ディーラーの息子が遺言
「これは私の職業人生の中で最も困難な決断だった」
ベルン美術館理事会のクリストフ・ショイブリン会長はこの日、ドイツ・ベルリンで行った記者会見でこう述べ、ドイツ当局と協力し、「コレクションに含まれる略奪絵画はすべて正当な持ち主に返還する」と宣言した。会見に同席したドイツのモニカ・グルッタース文化相も「ナチスの犠牲者に報いるため、わが国は略奪絵画の返還に関し、法的・道徳的責任がある」と全面協力の姿勢をみせた。