「さまざまな家族のカタチがあっていい」と話す「にじいろかぞく」の小野春さん(右)と、一般社団法人「Get_in_touch」理事長の東ちづる=2014年11月21日(tobojiさん撮影、提供写真)【拡大】
実は、春さんもそんな一人だったという。26歳で結婚、27歳で出産。「生きづらさは少しあったけど、自分の中で封印していた」と振り返る。子供が生まれ、しばらくして結婚生活がうまくいかなくなり、さまざまな原因を考えるうちに否が応でも自分のセクシュアリティーに直面することになった。「30歳を過ぎてからの自分探しでした」と笑う。学生時代、同性の友人に片思いをしたこともあったが、「当時はレズビアンのイメージが自分とかけ離れすぎていて、想像できなかった」。
ネットが普及した今、セクシュアルマイノリティーの人たちも以前より気軽に情報を得られるが、春さんの場合「同性愛者かも…」と気づいてから、必要な情報を得て、これで生きていくんだと受け入れるまでに2、3年の歳月が必要だったのだ。
気軽に情報交換の場を
春さんが呪縛から逃れられなかったのは、「家族」の存在が大きかったという。当時を振り返って、「親は絶対喜ばない、親の期待から外れたら人生終わるみたいに思っていた。いろんな常識に縛られて、私はなかなか動けなかった」と穏やかに話す。