太平洋から吹く湿った風が南米アンデス山脈にぶつかって大量の雪を降らせ、積もった雪が圧力で氷結し、氷河が生まれる。南部パタゴニア地方は、南極やグリーンランドに次ぐ氷河面積を誇る。特徴は活発な動きだ。
他の地域に比べて冬の最低気温が高く、氷の溶融や再氷結が短い周期で繰り返される。そのため、氷河の先端部からは轟音(ごうおん)とともに巨大な氷の塊が湖へ滑落(かつらく)する様子を眺めることができる。
氷河ツアーの拠点となる町、エル・カラファテからバスで約1時間。世界遺産ロス・グラシアレス国立公園内のペリト・モレノ氷河は壮大だった。中心部で1日に約2メートルも移動し、「生きた氷河」と呼ばれる。
駐車場から板張りの遊歩道を下ると、いくつもの展望台がある。さまざまな角度、距離から全長約35キロの氷河を間近に眺めることができ、言葉を失う迫力だ。
「ガラガラガラ」「バリバリバリ」。ときおり静寂を破る地響きが聞こえてくる。