争点を景気・経済対策に絞り込む首相に対し、野党側の反応は割れた。民主党は海江田万里(かいえだ・ばんり)代表がアベノミクスによる格差拡大を真っ向から批判。共産、社民両党も「地方の疲弊」を指摘し反発した。維新の党はアベノミクスより行政改革など「身を切る改革」を訴え、次世代の党は自主憲法制定などを掲げて独自色を強めた。
経済政策以外でも、与野党のスタンスの違いが明確になった。集団的自衛権行使を認める憲法解釈変更は海江田氏が今年7月の閣議決定の撤回を要求。原子力発電所の再稼働をめぐり維新の江田憲司共同代表が反対姿勢を鮮明にした。いずれも第2次安倍政権が2年間肝いりで進めた政策だ。
低投票率を警戒
ただ、序盤から「しらけムード」が漂ったことは否めない。民主と維新との候補者調整は不完全のまま選挙戦に入り、民主は過半数(238)に届かない198人の候補者しか擁立できなかった。政権交代可能な野党勢力が不在だったことが、与野党論戦の緊迫感を欠いた。