得意の恋愛映画で世界中の“アベック”を虜(とりこ)にしてきたフランスのパトリス・ルコント監督(67)が純愛映画の新作「暮れ逢い」(英語)のプロモーションで来日した。オーストリアの作家、シュテファン・ツヴァイク(1881~1942年)の短編小説「過去への旅」を脚色した本作では、第一次世界大戦前夜のドイツを舞台に、孤独感に押し潰されそうな若い妻と美青年の8年に及ぶ愛の軌跡が描かれている。ルコント監督は「ツヴァイクがとりわけ僕の好きな作家だったというわけではありません。恋人に抱いた強い愛情や欲望は、時間の経過とともに劣化せず、ずっと持続できるものなのか-という切り口に興味を持ちました」と映画化の出発点を説明した。
秘めた思いの行方
1912年、鉄鋼会社を経営する初老のカール(アラン・リックマン)の大邸宅で、大学を首席で卒業したばかりの才気あふれる新入社員、フリドリック(リチャード・マッデン)が下宿することになった。持病が悪化したため、自宅療養を余儀なくされたカールは、フリドリックを住み込みの個人秘書に任命し、日常業務への指示や報告をさせようとしたのだ。