計48回の実験を行った結果、緑色に光った細胞もわずかにあったが、いずれも明確な万能性遺伝子の働きは確認できず、STAP細胞は作れなかった。
作製した細胞を別のマウスの受精卵に注入し、胎児の全身の細胞に分化する万能細胞の特徴を示すか調べた。1615個の受精卵に細胞を入れたが、いずれも万能性は確認できなかった。
小保方氏が参加しない理研の検証チームも成功しておらず、来年3月までの期限を待たずに実験を終了した。国際出願したSTAP細胞の特許は放棄することも含め検討する。
1月に発表されたSTAP細胞論文は多くの誤りが判明し、理研は小保方氏による画像データの捏造(ねつぞう)や改竄(かいざん)の不正があったと認定。来年1月にも論文の追加調査の結果をまとめ、小保方氏に対する懲戒処分の審査を再開するが、退職後となるため、相当する処分内容を示すだけとなる。
≪信頼回復 真相究明が不可欠≫
小保方晴子(おぼかた・はるこ)氏が自ら作製できなかったことで、STAP細胞は存在しない可能性が極めて高くなった。世界が注目した論文発表から約11カ月。混迷が続いたSTAP細胞は「存在する証拠はない」との判断で事実上、決着する見通しだ。