個体識別などの他、ダイバーにミンキーのリサーチについてレクチャーしたり、乗客らが撮影した水中写真を寄付してもらい、個体識別に利用したり、研究費用の寄付なども募っている。
昨シーズンには、4頭のミンキーにサテライトタグを装着し、未解明のGBRシーズン後のクジラたちの行動を追跡することに一部成功した。1頭のオスに装着したサテライトタグが90日間追跡可能で、オーストラリア東海岸を南下して、タスマニアを超えてGBRから6000キロも下った場所まで移動したことが確認できた。今シーズンの末には、15個体にサテライトタグを装着して、さらなる追跡調査を行っている。
こうした調査の資金の一部は、クルーズに乗船した観光客からの寄付金などから賄われているわけだ。調査研究とダイビング事業が一体化した、一つの理想的なあり方を見ることができた興味深いクルーズだった。(写真・文:海洋フォトジャーナリスト 越智隆治(おち・たかじ)/SANKEI EXPRESS)