残ったインク着目
しかし、研究の結果、文字のインクはパピルスの繊維に染み込んでおらず、1ミリの10分の1の厚さで紙の上に残ったままで、特殊な器具を使えば「文字が鮮明に読める状態」であることが判明。「マンモグラフィー」技術とよく似た3DのX線撮影技術での解読が可能との結論に達した。
モセラ博士はAFPなどに「この技術はまだ完璧ではなく、さらなる改善に向け多くの実験を行う」としつつも、「正確な予測は常に困難だが、必要な資源などが供給できれば、巻物は10年以内に解読できるはずだ」と語った。
巻物の多くは、「快楽主義」で知られる古代ギリシャの哲学者、エピクロス(紀元前341~紀元前270年)が記したものだと考えられている。このため、巻物の解読によって、エピクロスが古代ポンペイの人々の思想に与えた具体的な影響や当時の暮らしぶりの一端が初めて明らかになると期待されている。また古典学者らは、新たなラテン文学やギリシャ文学の発見につながるチャンスとみているという。(SANKEI EXPRESS)