わけありの客がぶらりと訪れて、おいしい料理を食べながら人生の再出発のきっかけをつかんで家路につく-。安倍夜郎の人気コミックを原作に、深夜だけ営業する小さな食堂の人間模様を描いた人気テレビドラマ「深夜食堂」シリーズ(TBS系)が映画化された。主人公の寡黙なマスターを演じた小林薫(63)、松岡錠司監督(53)は映画編でも続投した。
松岡監督はSANKEI EXPRESSの取材に「小林さんが『テレビシリーズの監督をやらないか』と僕を誘ってくれたのが、深夜食堂の出発点。住み慣れた映画の仕事では、より良いコンビネーションが見せられたと思います」と期待を込め、一方の小林は「深夜食堂の世界は大人のメルヘンですよ。ある種の理想郷といえるかもしれません」と魅力を語った。
半透明な存在感
東京・新宿の路地裏にひっそりと軒を連ねる小さな食堂「めしや」には、マスター(小林)の料理を求めて今日も大勢の客でいっぱい。愛人を亡くし食堂で新しいパトロンを見つけたたまこ(高岡早紀)、東日本大震災の被災地・福島県で熱心にボランティア活動を続けるOLのあけみ(菊池亜希子)、現地であけみにプロポーズした被災者(筒井道隆)までもあけみ目当てに食堂に日参し…。そんなある日、無銭飲食をきっかけにみちる(多部未華子)は食堂に住みこみで働くことになり…。