【国際情勢分析】
司馬遼太郎氏は、「この国のかたち」という表現で日本国のありかたについて鋭い洞察を行ったが、フランスの風刺週刊紙「シャルリー・エブド」テロ事件と事件に対するフランス人の反応はまさしく、フランスという国の《かたち》を浮かび上がらせたといえる。つまり、フランスがフランス革命に端を発する《共和国》であり、その理念が《自由、平等、博愛》と《非宗教》であることを強く印象付けたからだ。
死守した理念
シャルリー・エブドがイスラム過激派をきわどい風刺や挑発の対象にし始めたのは約10年前だ。犠牲者の中の警官2人のうちの1人がステファン・シャルボニエ編集長の護衛官だったように、編集長は絶えず「死の脅迫」にさらされてきた。そして、この「死の脅迫」に屈せずに、文字通り死守したのが、《フランス共和国》の理念の一つである《自由》、つまり《表現の自由》だった。