山への愛着は消えることはなく、高校時代は山歩きを楽しんだ。毎年の正月は越後湯沢のスキー場で迎えていたが、東大助教授に昇進したころから仕事が忙しくなり、スキーも山歩きも次第に遠い存在になった。
もう一つの趣味が写真だ。高校時代は勉強そっちのけで写真撮影に熱中し、自室の押入れを暗室に改造して現像、焼き付けの技術を磨いた。処理に使う酢酸のにおいが家中に広がると母親に嫌がられたのも懐かしい思い出だ。しかし、大学入学と同時に実家を離れたため、写真とはすっかり縁遠くなっていた。
≪子供の頃の思い 今も心に≫
東大を定年退職してから趣味が復活したが、山歩きは年寄りの楽しみに、スキーが廃れてスノーボードが主流にと、状況は大きく変わっていた。
フィルムカメラは姿を消し、撮影済みのフィルムを現像してその画像を印画紙に焼き付けるという面倒な作業も不要になった。新しく出てきたデジタルカメラは、センサーがキャッチした光情報をカメラに組み込まれたコンピューターと画像処理ソフトが自動的に視覚化してくれるという仕組みだ。だから撮影直後にモニターで画像を見られるようになった。