水面上に躍り上がるホッキョククジラ。科学者による遺伝子研究で、200歳まで生きる長寿の秘密がみえてきた(ケイト・スタフォードさん提供、ロイター)【拡大】
ホッキョククジラは、150~200歳の寿命を持つ地球上で最も長生きとされる動物。全長は18メートルに達し、体重は地上最大の生き物であるシロナガスクジラに次いで重い。クジラの中では攻撃的ではなく、オキアミや動物プランクトンを餌にしている。単独か最大6頭ほどの小さな群れで移動を行うことが分かっている。
特に特徴的なのがその寿命の長さだ。100歳まで生きることで知られるガラパゴスゾウガメやムカシトカゲの倍近くもあり、60~70年とされる他のクジラの寿命をはるかにしのぐ。その寿命の長さから、メスは更年期障害に陥るといわれているほどだ。
極端に低い体温
今回の研究では、ホッキョククジラの体温調節をつかさどる遺伝子に変異の跡が見られることも分かった。他のクジラが繁殖や餌のために地球規模の移動を繰り返すのとは異なり、ホッキョククジラは一生を極寒の北極海周辺で過ごす。そのためか、ホッキョククジラの体温は極端に低いことで知られ、動物は体温が低ければ低いほど長寿になるという説が唱えられてきた。この辺りにもホッキョククジラの長寿の秘密が隠されているかもしれない。