30分ほど上空を旋回して連山を挟んで反対側の空港に着陸。ジャクソンホールへは陸路の移動となった。上空で厚い雲に見えたのは濃霧で、結局この日は晴れることはなかった。こんなハプニングも旅の醍醐(だいご)味として楽しめばいい。
翌朝もまた冷たい霧の中。しかし国立公園を南北に貫く道路を車で移動中、突然霧が抜けはじめた。すると目の前に白い弓形の虹のようなものが現れた。これは「白虹(はっこう)」という霧が生む偶然の産物だ。
快晴となった空一面にダイヤモンドダストがキラキラと舞っている。グランドティトンをバックに、頭で雪を掻き分けて餌を探す数頭のバイソンが見える。川沿いの湿地帯ではエルク3頭が移動中だ。雪原では、1匹のコヨーテが雪の中に隠れている小動物をめがけてダイブしていた。
厳しい自然環境だからこそ、必死で生きる動物たちの崇高な姿を目の当たりにできる。美しくそびえ立つティトン連山に周囲を取り巻くたぐいまれな自然環境、そしてさまざまな野生動物たちが心を揺さぶる風景を魅せてくれる。(文:旅ライター 鈴木博美/撮影:カメラマン 佐藤良一/SANKEI EXPRESS)