初めてアラスカを訪れた晩、生まれて初めてオーロラを見た。そのときのことはもちろんよく覚えている。その後20年にわたって撮り続けることになるオーロラとの出合いについて、少し書いてみたい。
アラスカを撮る写真家になると決断し、日本の大学を中退して間もない頃だった。アラスカ大学に入るためにTOEFLという英語の試験を日本で受けた。最初の試験では大幅に点数が足りず、2度目で7点だけ規定を下回るスコアを得られた。両方の点数を添えて入学申し込みをしたところ、不合格の通知が送られてきた。
わずか7点で思い焦がれた地への扉を閉ざされてしまう-。そのことに納得のいかなかった僕は、大学へ乗り込んで直談判をすることを決意した。思い返すと乱暴な思考であるが、あの頃の気持ちの勢いは誰にも止められなかっただろう。
とはいえ初めてのアラスカ。しかも無謀な交渉に挑もうというのである。自らをさらに奮い立たせるため真っ赤なセーターを購入したことを覚えている。