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【タイガ-生命の森へ-】自由自在に操ってこそ一人前 (1/4ページ)

2014.9.7 14:10

オモロチカと呼ばれる伝統的なカヌー。ビキン川の水面を滑るように進む=ロシア・クラスヌイ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)

オモロチカと呼ばれる伝統的なカヌー。ビキン川の水面を滑るように進む=ロシア・クラスヌイ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)【拡大】

  • オモロチカに乗り銃を構える。流れの緩い支流で舟の中でシカを待つという=ロシア・クラスヌイ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)
  • 舟は軽く、一人でも担ぐことができる=ロシア・クラスヌイ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)
  • 新しいオモロチカ=ロシア・クラスヌイ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)
  • ヤナギの枝で作った棹=ロシア・クラスヌイ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)
  • オモロチカを削り出す斧。それぞれ刃が曲面に反っている=ロシア・クラスヌイ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)
  • ロシア・クラスヌイ・ヤール村、ビギン川

 タイガでウデヘの猟師が使う舟は2種類ある。いずれも木製で、ロットカと呼ばれる船外機をつけた舟と、オモロチカと呼ばれる小さなカヌーだ。

 ロットカは村から遠いタイガへ向かう時に使う。スピードと馬力があり、大人4~5人と相当な荷物を載せて水量のあるビキン川を遡(さかのぼ)ることができる。シカやイノシシなどの獲物もそのまま数頭載せてびくともしない。ちなみにエンジンはほとんど日本製だ。

 オモロチカは長さ4メートル、幅80センチほどの、一人乗りの伝統的なカヌーである。急な流れを長く遡るのは無理だが、利点は何よりエンジン音で動物を警戒させないこと。燃料もかからず、機械の故障とも無縁だ。ウデヘの猟師はよく小さなオモロチカをロットカに積んで上流の狩小屋へ入り、そこからオモロチカに乗り換え流れの弱い支流に入ってゆく。

 水面を滑るように進むオモロチカは本当に驚くほど静かだ。そうして浅瀬でシカの足跡を見つけると舟の中に潜み、水辺にやってくるシカを待ち伏せするのである。

 舟が細いだけにバランスをとるのは難しい。この美しい小舟を自由自在に操って狩りができてこそ、ウデヘの猟師としては一人前である。

小舟に詰まった自然と人の知恵

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