安保崩壊に危機感
きっかけはロシアのプーチン大統領の書簡だった。欧州メディアによると、「ウクライナ東部での停戦、親露派支配地域の自治権拡大」などに関する協議の呼び掛けにドイツのメルケル首相が飛びついた。
ウクライナ東部では再び戦闘が激化し親露派が支配地域を拡大、米政府はウクライナ軍への殺傷能力のある武器供与の検討を始めた。
メルケル氏はフランスのオランド大統領と「ウクライナへの武器供与に反対し、紛争の外交的解決を目指す」立場を再確認。1週間でウクライナのキエフ、ロシアのモスクワ、米ワシントン、カナダ・オタワを訪問。ミュンヘンの安全保障会議にも出席後、オランド氏とともにミンスクでの4カ国首脳会談に臨んだ。
メルケル、オランド両氏を突き動かしたのは、冷戦終結後に形成された欧州・ロシアの安全保障の枠組みが崩壊することへの危機感だった。
第二次大戦後、「不戦の誓い」に基づき平和裏に統合を進めてきたEU諸国にとり、米国がウクライナへの武器供与に踏み切り、対抗してロシアが軍事介入を本格化させ戦火が拡大するという事態は絶対に避けねばならない悪夢だ。