大統領官邸で、イランとの密約疑惑やアルベルト・ニスマン検察官の謎の死への関与を全面的に否定し、ファイティングポーズをとるクリスティナ・フェルナンデス・アルゼンチン大統領=2015年1月30日、アルゼンチン・首都ブエノスアイレス(AP)【拡大】
アルゼンチンの検察当局は13日、1994年7月に首都ブエノスアイレスで起きたユダヤ人協会本部ビル爆破テロ事件の捜査を妨害した疑いで、クリスティナ・フェルナンデス大統領(61)に対する捜査を正式に始めると発表した。検察は、事件で国際手配されたイラン人容疑者を処罰しない代わりに、安く石油の提供を受ける密約を大統領らがイランと交わした疑いがあるとしている。疑惑をめぐっては、内偵していた検察官が今年1月、議会証言の前日に遺体で見つかり、今も自殺か他殺か分かっていない。巨大な闇の世界が背後に存在することは間違いなく、その遺志を継いだ捜査の進展いかんによっては、フェルナンデス政権を大きく揺るがす可能性がある。
アルゼンチン紙ナシオンなどによると、検察の発表を受けてフェルナンデス大統領は13日、「(疑惑は)根も葉もない。政権転覆を意図した『司法によるクーデター』だ」と反発した。
好条件の貿易画策
アルゼンチンには南米最多の約18万人のユダヤ系住民がおり、85人が死亡した爆破テロ事件では連邦裁判所が2006年11月、イラン政府高官らの逮捕命令を出し、6人が国際手配された。イラン側は関与を否定している。