≪ジュニア・ユース いわき秀英高校(福島県)2年 蛭田直宏さん≫
22日行われた東京マラソンで、ジュニア・ユースの部には岩手、宮城、福島の東日本大震災の被災3県の高校生100人が招かれ、10キロを駆け抜けた。
いわき秀英高校(福島県)2年の蛭田(ひるた)直宏さん(17)も、地元の期待を背に、実力を出し切った。目標の3位にはあと一歩届かず、4位だったが、「福島はがんばっているし、元気だということを自分の走りを通じ伝えられたと思う」と笑顔をのぞかせた。
陸上を本格的に始めたのは中学1年。誰かに憧れたり、何かに刺激を受けたわけでもなく、ただ走る爽快感に魅せられた。練習に明け暮れる毎日を送っていたが、2年生になる直前に、震災と東京電力福島第1原発事故に見舞われた。
慣れ親しんだ街の様子は一変した。自宅は原発から30キロ以上も離れていたが、街角からは人影が消えた。自らも自宅にこもり、陸上の練習から遠ざかった。「これからどうなるのか不安ばかりが募った」