3月9日、首都アブダビのアル・バティーン空港を離陸した「ソーラー・インパルス2」。ほぼ5カ月をかけて断続的に3万5000キロを飛び、世界一周を達成する計画だ=2015年、アラブ首長国連邦(ロイター)【拡大】
太陽エネルギーが生み出す電力だけで飛ぶ1人乗りの新型プロペラ機「ソーラー・インパルス2」が9日、世界一周の旅に向け、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビを出発した。成功すれば、人類初の化石燃料を使わない世界一周飛行の快挙となり、再生可能エネルギーとクリーン技術の可能性を全世界にアピールする考えだ。
ソーラー・インパルス2はスイスの団体「ソーラー・インパルス・ベンチャー」などが開発。両翼の長さが72メートルで、重さ2.3トン。翼を覆う約1万7000枚の太陽電池で得た電力で4つのプロペラを回し、時速140キロで飛行する。日没後はバッテリーに充電しておいた電力で夜間飛行ができ、故障しない限り燃料の補給をしなくても飛び続けられる夢の飛行機だ。
1人乗りのため、スイス人操縦士のベルトラン・ピカールさん(57)とアンドレ・ボルシュベルグさん(62)の2人が交代で操縦する。現地時間の9日午前7時12分(日本時間午後零時12分)にアブダビのアル・バティーン空港を飛び立ったソーラー・インパルス2は、まずオマーンの首都マスカットに向かい、その後、インドやミャンマー、中国の南京を経て太平洋を横断、途中ハワイに立ち寄る。