ぼくは徹底した見開(みひらき)主義者あるいは両頁(りょうけつ)主義者だ。見開き状態が大好きなのだ。いっとき銀座松屋の企画で「見開屋」というコーナーをもらったこともある。見開きフェチと言ったほうがいいかもしれない。見開きがないと、夜も日も明けず、何かを食べているときも横目で本の見開きをペラペラ追っていないと気が済まない。もっとヤバイのはカバンを開けたり、観音開きの扉を開けるたびに、それがいろんな本に見えてくることだった。
ノート、カバン、財布、厨子、戸棚、芳名帳、屏風、メニュー、会計簿、懐紙…。これらはいずれも開けばダブルページになるものたちだ。そう思うと、矢も盾もたまらない。ついにいろいろなもので「見開き作品」を作るようになった。そこに「本的なるもの」を出現させたくて、手作りの作品を作って個展をした。まさに見開きブックウェア。病膏肓(やまいこうこう)の「見開き病」と言われても仕方ない。