震災後、夫が港に出入りするトラックの運転手に「津波が来るから逃げろ」と声をかけていたと知った。運転手が「ヒデちゃんに助けてもらった」と話していたと聞き、津波の間際まで人を助けようとした夫の姿がうれしかった。
子供たちには「パパはお星さまになったんだよ」と話している。一度、泣きそうになったことがある。震災後、夜空でひときわ輝く星を見つけた風花ちゃんが「あれ、パパだね」と見上げた。ぐっとこらえた。父の記憶がない丈留君もイチゴが嫌いなところは秀行さん譲りだ。
「みんなが心の底から笑顔になれる日が来たときこそが、本当の意味での復興」と訴えた追悼式での言葉は、夫への誓いで締めくくった。「これからも笑顔を絶やさずあなたの分まで明るく生きていこうと思います」。目元に涙が光った。(滝口亜希/SANKEI EXPRESS)